ひとつ
 
六は突然聞いてきた。
「なあ、一京ってさ、一休さんからつけたのか?」
「…え。」
実家は寺だけど自分は別に仏道に帰依してるわけでもないし、とんちもできないし、むしろバンドマンであるのに。一休さんはないだろう。(「バンドマンって、そのナリでバンドマンて言うなよ…」と軽くつっこまれた)
「父が京都出身だからです。それだけです。」
「じゃあ一はなんだよ、イチは。」
「なんでしょうねぇ」
「京っていう字ならキョウとかケイとか読ませて一文字でもいいのに」
カッコイイのに、と言う。
じゃあ改名しましょうかというとやめろと嫌そうな顔をする。
「私は一人っ子ですが、両親はたくさん子供をつくる気だったみたいですね」
「…坊主なのに…」
「その辺は今は寛大なんですよ。お寺に子供がたくさん、まさに寺子屋」
「保育園でもやればいいじゃんか」
「やってますよ」
「このご時世?」
「はい」
「…まあいいや、子供をたくさん作る気だとなんでイチがつくんだよ」
「たぶん、一二三四…と続けるつもりだったんじゃないかなーって」
「そんな単純な」
「いやいや案外本気かも」
「お前の親だしなぁ」
「何ですかそれ」
 
しばらく経ってから六は口を再び開いた。
「でもさぁ、そんな番号みたいなの、親がつけっかよ」
「一郎次郎三郎の3人兄弟はどうするんですかー」
「だからこのご時世いないってそんなの。イジメられるっつーの」
「日本は狭いといえど広いですからね」
私が言うとそこで六は口をつぐんで唇を突き出したアヒルのような顔になる。
「番号みたいなの、嫌なんですか?」
六は首を振って違うと示した。
「…そういえばロクって本名ですか?」
「ンなわけがあるかい」
「じゃあなんで数字なんです?」
「本名じゃないけど…本名からとった」
じゃあ彼も番号みたいな名前で呼ばれてた人ってこと?
わざわざそれを拾ってきて自分に名づけるのって、ひねくれてて、彼らしい。
 
「名前つけんのって、親の一大イベントじゃん」
「まあ、そうかも」
「それを機械的に一番上からいちにいさんしって…」
「それで否定されてる気になってたんですか?」
「…」
 
「六番目なのかどうかは知らないですけど、ご両親にとって六番目って一人しかいないでしょう」
「二人いたら困るっちゃぁ困るなぁ」
「…」
「何で切ない顔してんだよ」
「…んー、いいんじゃないですか、それで」
「は?」
「ご両親の六番目の子供はあなたひとりっきりです。世界にひとりっきりです。」
 
「そして一番目の私もひとりっきりです。世界中に長男や長女はたくさんいますけど、私の両親の一番目は私ひとりきりです。」
六は私をまぶしそうにみていた(笠はかぶってるのに)
 
「でも一番がいいなぁ」
「じゃあ私の一番にしてあげます」
「いやだよ父親がお前なんて」
 
こういう台詞ばっかりの 漫 画 が 書きたかった…。
気力が持たなかった…意外と長いよ。
そして絵にすると意外とくすぐったい話だよこれ。何なんだ!!
 
やっぱり一京はですます調で一人称が私だったらいいなあ、とか、
実家は寺だけど坊主じゃない、のに、説法みたくなってたり、とか、
六とわびさび仲間だったらいいなあ、とか、
一京は遠回しに告白してみるけどいつも六が気付かないといいなあ、とか。
和キャラ班は妄想がとめどないですそのうち十兵衛とかでてきます。(ヤメロ)
 
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